テストサービスを外部委託するメリット

2021年1月7日開催、Vineet Pancholi, Semiconductor Story
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5G、AI および車載製品など業界をリードする IC 市場でのテストの課題に取り組む

今日の競争の激しい商取引の世界におけるビジネスモデルは、ここ数年で「サービス」に移行しています。Microsoft、Amazon、Googleのような企業は、ビジネスを可能にするサービスで業界をリードしてきた最上のサクセスストーリーモデルとなっています。これらの経済生産性向上サービスにより、顧客は製品のアーキテクチャ、設計、市場導入までの時間の短縮に集中することができます。同じくサービス・プロバイダー企業は、経済的に大きな利益を上げ、高い利益率を実現しています。

垂直統合型デバイスメーカー(IDM)の世界においてもこのようなサービスプロバイダーに類する企業が、何十年にもわたって業界にメリットを与えてきました。Amkor Technologyは、50年以上にわたり、大手企業とスタートアップ企業を含む幅広いIDMに革新的なアセンブリとテストのサービスを提供してきたリーディングカンパニーです。

図1:テストは製造工程の最後の工程にあたる

ワールドクラスの半導体メーカーの多様なニーズにお応えするため、Amkorは3,000を超えるさまざまなタイプおよびサイズのパッケージを提供します。パッケージは、スルーホールや表面実装型の従来のリードフレームICから、スタックチップ、ウェハレベル、MEMS、オプティカル、フリップチップ、スルーシリコンビア(TSV)、3Dパッケージングなどの多ピン数および高密度アプリケーションに必要とされるものまで多岐にわたります。1さらに、ICのテストサービスは、数十年前からすべての組立製品やその他のICに対して提供されてきました。その結果、毎年何十億ものユニットがお客様のためにテストされています。

製品ライフ

一般的には、製品アプリケーションには2つのカテゴリーがあります。最初のカテゴリーは、増加し続ける製品カテゴリーではありません。ただしこれらの製品は製品寿命が長く、複数のアプリケーションで使用されています。例としては、コンバーター(デジタル-アナログおよびアナログ-デジタル)、FET、センサー、低速の小型シリアルメモリなどが挙げられます。第2のカテゴリーには、マイクロプロセッサやCPU、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)、人工知能(AI)プロセッサ、アプリケーション・プロセッサ(APU)、メモリ・コントローラ、モデムなどのテクノロジー・ドライバが含まれます。これらの製品はアプリケーションの寿命が短く、ムーアの法則に依存します。2製品の数量はアプリケーションの状況(携帯電話の普及率など)に応じて比較的大きくなりますが、これらの製品は通常、顧客のビジネスケースや需要に応じて再構築や再設計が行われます。

テストフロー

代表的なテストの流れを図2に示します。

図2:全体の (代表的な) 製造テストの流れ。

これらのテスト手順はそれぞれ個別の目的を持っており、テストプロセスにおいて不可欠な工程です。近年、システム・イン・パッケージ(SiP)に機能ブロックをより高いブロックレベルで統合するシステム・レベル・テスト(SLT)の需要が高まっています。カスタマイズされたSLT技術により、製品を最終用途のアプリケーション環境でテストできるようになります。製造されたICのテストは主にビジネス上の決定事項ですが、テストが不足していたり、不十分であったりすると、市場の最終顧客に要求品質を満たさない製品が提供され、ビジネスの損失につながる可能性があります。

OSATのメリットと課題

Amkorを含むOSATは、テスター、プローバー、ハンドラーおよびツールについて、テスト機器(ATE)メーカーを活用しています。Advantest、Teradyne、Cohu、National Instruments、TechWing、Chromaのようなメーカーやその他の多くのメーカーがソリューションを提供しています。残念ながら、テストおよび測定機器の開発者と最終製品を開発するIDMにはギャップがあります。これら製品用のDFX(Design for Excellence)も、一般的に製品完成サイクルのかなり後半で提供されます。確実に新製品の導入と量産向けテスト能力がマッチングできるように、Amkorはお客様とATEサプライヤーの両方と緊密に協力しています。

多くのIDMは図1で説明される製造工程を外部委託するメリットを今では理解しています。市場投入までの時間が非常に重要視される中で、お客様はテストの内容や範囲、品質を損なうことなく、同時に迅速なターンキーのテストフローを要求しています。

Amkorのテスト活動の一環として、5G、人工知能および先進車載製品の市場を含め、業界をリードするICビジネスのトレンドに取り組んでいます。各市場には各々に要求されるテスト要件があります。例えば、5Gは一般的に、4Gの制限値を超えてデータスループットを向上する無線規格を指します。スペクトラムのFR1とFR2キャリア周波数帯での携帯電話アプリケーション向けにより高いバンド幅と低レイテンシーが求められることから、従来のRFサブシステムキャリア周波数を超えて測定できる最新のテスト機器の開発が推進されました。キャリア周波数が6GHzと160MHzの帯域に制限され、電力が増強されるRFサブシステムテスターは、20年以上にわたりテスト業界に貢献してきました。

人工知能(AI)および機械学習(ML)アプリケーションがますます高速なデジタルデータレートでの処理能力およびIC間のデータ通信の増強が求められるプロセッサ内部の新しいインストラクションセットの導入を左右することが予想されています。これらの高速デジタルインターフェイスには、ディスプレイ、メモリ、チップセットI/Oおよびイーサネット技術などが含まれます。車載製品市場では、製品の数量とテストの複雑さが増しています。インフォテインメントコントローラおよび先進運転支援システム(ADAS)などのインキャビン・アプリケーションは広い動作温度範囲にわたる厳格でミッションクリティカルなテスト要件を持つものの好例です。

5G テスト

Amkorのお客様は、5G基地局と5Gユーザー機器という2つの異なるアプリケーション向けに5G準拠の製品を開発しています。テスト要件は各々で異なります。スモールセルに5Gを実装した場合、5G基地局向けの製品ボリュームは相対的に数桁違いで増えると予想されます。5G基地局とユーザー機器製品の両方について挙げられるテストの課題には、高い電力範囲、高いダウンロードデータレート、低レイテンシーとMIMO(Multiple Input Multiple Output)のI/Oの増加とチャネルアグリゲーション対応が含まれます。米国連邦通信委員会(FCC)はサブ6GHz周波数レンジよりはるかに急速に減衰する24GHz~52GHzのFR2キャリア周波数を承認しました。これらの高レベルのテスト要件はすべてRFテスト業界には比較的新しいものです。

ATEサプライヤーはお客様のために競争力のあるテストソリューションを開発するための既存および将来的な技術面の期待に応え続けてきました。アンテナ構造を統合するICパッケージングも同様です。アンテナ・イン・パッケージまたはアンテナ・オン・パッケージ(AiP/AoP)のテスト3には、 テスターが要求される仕様の精度に従って部品を効果的にテストできるように送信と受信(TxとRx)チャネルの必要数がRFエネルギーをオーバーザエア(OTA)でソースまたはキャプチャし、導電エネルギーに変換することができるような電気機械的ソリューションを実装するために、Amkorはハンドラーのメーカーと協力を続けています。

図3:5G テストアプリケーション(出展:IEEE)

AI テスト

AIおよびMLのプロセッサは他の高性能プロセッサや関連するテスト要件と変わりないものです。しかしながら、データレートおよびロジックレベルはますます高度になりつつあります。これらのプロセッサで最も一般的なテスト用インターフェイスには、PCIe、イーサネット(IEEE 802.3)、ディスプレイおよびメモリです。他の高速インターフェイスには、MIPI DigRFのバリアント、JESD204B/C、USB 3.x、Thunderboltなどがあります。今日、これらのインターフェイスの大部分は最高32Gbpsまでの効果的なデータレートを処理することを目的としています。最近では、PEC(pin electronics card)を備えたATEのデータレートは最大2.5 Gbpsで、その機能の範囲内です。一般的なDFxおよびテスト仕様は、フィジカルレイヤー(PHY)をテストするためにTxからRxへのループバックを使用したテストにより、不良品のI/Oロジックをスキャンします。

図4:一般的な(AI)プロセッサとデジタル高速テストインターフェイス

車載製品のテスト

車載用電子製品には、ロジック制御やインフォテインメント、車体の状況を検知するアナログやセンサー、自律運転を含む先進運転支援システム(ADAS)用5G RFコンテンツ等で、膨大なデジタルコンテンツが搭載されます。幅広い動作温度範囲、77GHzから81GHz周波数帯域での高バンド幅および低レイテンシーのRFキャリア周波数のために、製品のテスト要件は進化しつつあると同時に高い難易度が要求されるようになっています。

サマリー

Amkorは、OSATのリーディングカンパニーとしてのテスト技術および量産規模を活かし、広範囲の製品についてテスト開発およびテスト生産サービスを通してお客様にメリットを提供します。Amkorはまた、特に5G、AIおよび車載ADAS製品用のテスト課題にソリューションを提供します。お客様のサプライチェーンを強化するターンキーのサービスのひとつとして、今後もテストサービスは進化を続けるでしょう。

参考資料

  1. Amkor デバイスパッケージ
  2. ムーアの法則
  3. アンテナ・イン・パッケージ/アンテナ・オン・パッケージ


著者

Amkor Technology, Inc.(アリゾナ州テンピ)のテスト技術担当、Sr Director、Vineet PancholiVineetは2019年1月にAmkorへ入社し、現在は5G RFおよび高速デジタルの生産テスト方法論のテスト技術開発を先導しています。VineetはAmkorに入社する前は、Microchip Technologyでテスト開発に取り組んでいました。それ以前は、彼はIntelに19年間勤務しテスター供給業者のマネージメント、テスト技術開発(バーンインテスト、最終およびシステムレベルテスト)やRFテスターのアーキテクトを含む様々なテストサービスのの業務に従事しました。Vineetは半導体デバイステスターの特許を保有し、アリゾナ州立大学で物理学と電気エンジニアリングの修士号を取得しています。