半導体ストーリー:パッケージ材料とコストダウン Vol2

March 31, 2017 in Semiconductor Story by Gyuik Jeong
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Amkor In Story読者の皆さん、こんにちは。春になりましたね。花咲き誇る暖かい日が訪れ、私は重苦しい冬服を脱ぎ捨てて春物に入れ替え、春を満喫しています。先月ご紹介した製造コスト削減のストーリーを続けたいと思います。Vol.1では材料に注目しましたが、今回は製造プロセスとパッケージ構造について学びます。

使える面積を最大化する

半導体製造設備は一般的に1年365日、週7日24時間体制で稼働します。時には、半導体工場が停電によって大きな財務損失を生んだというニュースを聞くこともあります。製造プロセスは非常に精密かつ緻密に行われるので、装置は常にメンテナンスをしなければなりません。それ故、装置は終日スイッチが入り作動している必要があります。中断なく作動している場合、コストを削減するためには単位時間当たりにより多くの製品を生産しなければなりません。より多く生産を行うため何が出来るでしょうか?

まず一つの方法は、基板の面積を最大化することです。ピンとこないかもしれませんが、まさにこれは同時に多くのものを作るために大きな基板を使用するということです。最終製品のサイズは数mmから数十mmまで多岐に渡ります。製品はひとつひとつ個別に作られるのではなく、ストリップから小分けにされます。一般的にパッケージングのすべてのプロセスはストリップ単位で実施されます。ワイヤボンディングやフリップチップボンディングから始まり、製造プロセスの最後まですべての作業がストリップを基本として行われます。ストリップのサイズを大きくすることが出来た場合、より多くのパッケージが一度に処理でき、製品ひとつあたりのプロセスコストが下がります。下の図は、いろいろなタイプのリードフレームです。大きな面積の方がより多くのパッケージを生産できることは明白です。ここで疑問になるのは、大きなストリップが好ましいのであれば、なぜそのサイズを2倍や3倍、または4倍にしないのか、ということです。

▲ QFNのストリップサイズ

シンプルに言うと、ストリップの大型化はプロセスの難易度を上げます。モールド工程を考えてみます。下の図に示されるように、エポキシモールド樹脂(EMC)が溶けて一方向から反対側へ流れて充填され、同時に硬化します。最近はパッケージ厚が薄くなり、そのためモールド樹脂は流れ込む容量が小さくなり、すべてのスペースに均一に充填するのが難しくなっています。この問題を解決するため、新たな樹脂を開発しなければならず、モールド装置もそれに応じた改良を求められています。

しかし、モールドの問題を解決すれば終わりというわけでもありません。大きなストリップを使用することにより、反りが増えることになります。反りが大きくなると、はんだボールの設置やストリップからのパッケージ切り出しがより難しくなります。しかしながら、すべての努力はより競争力のある価格につながるので、研究が継続されているのです。

▲モールド樹脂充填の動き
▲モールド後のストリップ反り

パッケージ構造

パッケージコストの大部分は基板に属するものです。材料コストを削減する終わりのない作業は、基板の価格を低下させることでは終わらず、今では基板を使わないものもあります。

▲パッケージングコストの内訳比較(出典:Yole Developpement、2013年)

 

国内外のサプライヤーから支給される基板がない場合でも、再配線(RDL)プロセスを使用しすることでパッケージメーカーは自分の基板を作ることができます。このようなパッケージはウェハレベルパッケージ(WLP)と呼ばれます。プリプレグまたはコアのような既存のラミネート基板を数μm厚のRDLとパシベーションで置き換えることができます。また増加しつつあるI/O数に伴い、チップよりもサイズを大きくできるファンアウトWLP(FOWLP)に多くの関心が寄せられています。

▲(左)ファンインvsファンアウトWLP、(右)FOWLP製造プロセス(写真提供:(左)https://goo.gl/xgjy1b/(右) https://goo.gl/RmNUcn)

FOWLPは基板を持たないため、製造コストの削減が期待できます。基板コストをなくすこと以外にも、フリップチップスケールパッケージ(fcCSP)におけるCuピラーやはんだバンプのようなチップと基板間の接続を省くこともできます。基板がないためパッケージの厚さを減らすこともできます。更に、基板に厚い絶縁体(プリペグやコア)がないことは、放射効果の改善も期待できます。

▲FOWLPと他パッケージとのサイズ比較(写真提供:https://goo.gl/yoYL4F)

 

基板が不要になることは、基板サプライヤーは生き残りを心配しなければならないということです。結果として、国内外のサプライヤーは現在、プロセスの原単位であるウェハサイズに制限を受けるFOWLPと競合するためにパネルFOWLPを開発しています。現状ではウェハは直径12インチで、現実的にはこれ以上大きくできないと言われています。ウェハサイズにより制限されるWLPとは違い、パネルFOWLPはウェハより大きな面積のプリント回路(PCB)基板を使用します。下の写真で、12インチウェハの3倍のパッケージングを行うことができます。正方形のパネルは丸形のウェハより面積効率に優れており、WLPより価格競争力を上げることができます。ただし、製造中に発生する問題を解決できればという条件つきで。

▲ウェハとパネルの面積比較(写真提供:https://goo.gl/mkKmmZ)
▲ウェハとパネルの面積を基準にした生産コスト比較(写真提供:https://goo.gl/yoYL4F)

 

さいごに

これら2つの問題で、パッケージングにおける製造コスト削減のためのいくつかの施策を見てきました。ほんのわずかであってもより良い価格を求めるのが人間の常でしょう。過去に比べてより良い機能性と低い価格。これは今や誰もが電子機器業界に期待するものになっています。その追求が終わることが大事なのではなく、むしろこれらの期待に沿うようにコスト削減を支援することがパッケージング業界の運命と言えます。製造コストの削減という観点が、パッケージングの理解に少しでも役立てばよいと思っています。

次の号でどのような話題を取り上げるのか、また悩んでしまいそうです。非常に多くの方が、いくつもの至らない点がある私のストーリーに興味を示してくださっています。それでは次号、さらに興味深く役に立つコンテンツでお会いしましょう。(ご意見や激励がございましたらご連絡お願いします)

WRITTEN BY Gyuik Jeong
大志を持ってAmkorに入社してすでに10年になります。10年は地球の環境を変えるのに十分な時間だとも言われますが、私はすべての仕事に対して新人のように新鮮な興味や関心を持ち、仕事を楽しみ続けることを望んでいます。